わたくしの息抜きの一つに休憩時間にTogetterを見る事があります。
Togetterというのは、有志で作成するTwitterのまとめサイトのようなもので、知らない方は一度見ていただくとなんとなくどのようなものかは把握できるかと思います。
https://togetter.com/
そんなわけで本日もいつもどおり休憩時間にホットのコーヒーを淹れて、Togetterをぼんやりと見ていたら少々気になるトピックが。
「デザイナーを殺すフキダシ」がこちら…「不愉快〜!」「ゾワゾワしちゃった」などTLが阿鼻叫喚
私も見た瞬間にああーwってなってしまった代物で、こんなのお客様にだせないよ、ちゃんとしな!って叱られる案件です。
こういう仕事をすると、もれなく君に振れる仕事はないねと言われて明日から社内ニートまっしぐらです。こわい。
そして興味深かったというか、考えさせられたのはその後のユーザーの反応。
要約するとこれぐらいいいんじゃない?好き嫌いの話では?といった意見が少なからずあることです。
この意見に対して角を立てずに理論立てて説明をするのが意外と難しいなと思いました。
これが駆け出しのダメだしならデザインの基本を説明してキチンと揃えましょうね、整えましょうね、ひきのばしをしてはダメですよとデザインのいろはとして説明するだけで良いのですが
このコメントがでてくるかたはおそらく素人さんなのでそういう方に対して、上記の説明では答えになっていません。
なぜ揃えなければいけないのか・整えなければいけないのかという、根本の話をした上で納得してもらわないといけないので
数学で例えるならば1+1=2の証明の難易度が高いのと同じぐらい難しいのではと思いました。(ちょっと大げさ?)
ちなみにあえて揃えないという選択はあります。
なぜそうなっているのか意図をキチンと説明できるのならこのフキダシも全然アリなんです。
デザインは難しい、いまだに正解がさっぱり分かりません。
その他コメントでいくつか気になったものに対して私なりの考えを
Q.スーパーのチラシを見て憤死するのか?
A.しっかりした事務所ならスーパーのチラシこそ、理由なくこのようなフキダシの作り方はしません。
スーパーのチラシはデザインの基礎の集合体なので、大手スーパーのチラシをよーく観察してみるとどういう意図でその形になっているのかルールが見えてくるはずです。
たとえば一部分だけ文字がギュッと縦長気味になっているときも、よく観察してみると一定のルールに沿って作ったときに、そこだけ文章量が多くなっているため縦長につぶしている等
必ず説明がつくのですよね。
もちろん中には低クオリティなものもあると思いますが、スーパーのチラシという括りで憤死はしません。
スーパーのチラシに求められる役割が、「親しみを持ってもらう」「とにかく目立たせたい」「安さを訴求してたくさんのお客さんに来てもらいたい」となりがちなので
見た目が洗練されてないように見えますが、その中身は非常に理にかなったつくりのもので、いろんな方が喧々諤々とやりあって長年磨き上げてきた血と汗と涙の結晶なので
低クオリティなものの代名詞として上げるのはとても失礼な話だと思います。
Q.佐藤可士和氏のコーヒーメーカーは基礎ができていたのか?
A.今回のケースとは同列に語れない、別の問題
佐藤可士和氏のコーヒーメーカーといえば、結構前にネットで話題になったコレですかね?
私のような木っ端デザイナーが氏の仕事に意見するのは非常に憚られますが、
これはフキダシの問題とは少し趣が違います。
上記のフキダシの問題は、作業上の基礎でありいわゆるオペレーター領域の基礎のミスになります。
バスケットボールで例えるなら3ポイントシュートを打ったけどゴールに入らなかった。
単純にプレイヤーの技量不足のミスです。
それに対してテプラでデコられてしまったコーヒーメーカーの問題は
このコーヒーメーカーを使う人が理解しづらいデザインをつくってしまった事
いつ・どこで・だれが・なんのために・どうやって の5W1Hが練られているとは思えない点にあります。
バスケットボールで例えるなら、ゴール下にフリーの味方が居てパスも通るのに、3ポイントシュートを打ってゴールに入らなかった。
戦略の基礎のミスです。
どういった経緯でこのような事になってしまったのかは分かりませんが、
どんなにわかり易さを重視をするべき場面でも、先方の意向でスタイリッシュなデザインを制作することも稀にあります。
あまり滅多なことはいえません・・・。